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2010年7月10日 (土)

小沢の豪雨

もう20年ほど前のこと

梵字川に注ぐ小沢を2泊3日で釣り上ろうと

出かけました。

小沢は梵字川の支流とはいうものの

十分な水量の渓流でした。

それまで小沢で釣りをしたことはあったのですが

流程が長く、日数をかけないと源流部までは

とても遡上できるものではなく、いつも途中で

引き返していました。

                     

午後遅く梵字川と小沢の流れ込みに到着した3人は

梵字川の上流から見て右岸にある小さいながらも平地に

なっているところにテントを張りました。

 晩飯のおかずにする岩魚を釣るためその辺りで

竿を出してみると次から次ぎに良型の岩魚が

掛かるのでした。

岸端にまで岩魚が居て尋常じゃなく喰いが

たっているのです。

そして釣り上げた岩魚の塩焼きを食べ終えたころ

あれほど晴れ上がっていた天気が一変して

雨が降り出してきました。

その雨は夜になっても衰えるどころか

勢いを増していくかのようで

懐中電灯で梵字川の流れを照らしてみると

雨粒の向こうに増水し恐ろしいくらいの

濁流と化している様子が見えました。

 テントを打つ雨音と流れる轟音で耳が圧迫され

目の前に居る相手の声さえも聞き取りずらいほどです

100701030  

(梵字川、左手に小沢の流れがあり

そこから梵字川を上流から見た画)

真夏の8月であるのに雨降る渓谷は

吐く息が白くなるほど冷え込み

恐怖感と寒さで眠るどころではなく

全身が震えていて、それを腕を組んで身を丸くし

堪えていました。

シュラフに潜りうずくまるように横になっていたとき

 大きなプレハブ小屋ほどもあると思われる岩が

水圧でゴロリと動き、それが地面を伝って

響いてくるのです。

地響きが体に伝わってきたとき

これにはさすがに身を起さずにはいられない恐怖感でした

 定期的に水嵩がどこまで上がってきたか

懐中電灯で確かめるのですが

確実にテントへ近づいてくるのが

わかります。

 自然の中にポツンと取り残されたような

状況というのはとても心細く

テントの位置、雨の勢い、撤退か否か

そんな不安が頭の中をグルグルと

駆け巡るのでした。

そして、夜半をまわった頃でしょうか

ついに私たちはウェダーにレインウェアを着て

ザックを背負うとテントから逃げるように

ばちばちと当たる雨粒を受けながら

後ろの斜面を夢中でよじ登りました。

何メートル登ったか大きな木に抱きつくように

しがみ付くようにして夜明けを待ちました。

                       

4時を過ぎたあたりから夜が明けてきて

辺りが見えるようになると

茶色く濁った荒れ狂う梵字川と小沢が見えました。

 テントは流されず無事でした。

小ぶりになった8時、釣りを諦めて撤収することにし

そこを引き上げたのですが

本来ここのテント場は梵字川を渡り、小沢に

挟まれたところが絶好のポイントなのです。

でも私たちはそれを知っていながら

梵字の下流から上流を見て左岸に張ったことが

ラッキーでした。

もし渡ったポイントでテントを張っていたら

増水した川を渡り返すことが出来ずにいたでしょう。

 しかし、山の天気が変わり易いのと同じように

あれほど酷かった濁流も昼には

だいぶ落ち着きました。

その証拠に左岸伝いを遡上して行きましたが

山登りの地点に着いたときには水はだいぶ落ち着き

濁りも取れてきていました

 そして山の急斜面を登りだしたときには

分厚い雲が取れ夏の陽射しが戻ってきました。

                      

昨夕、岩魚が妙に釣れたのは

そんな悪天候を予知してのことかもしれないなと

ガレ場を登りきり、ブナ林の中で重たいザックを解き

休憩しているとき、実に美味そうにタバコを

くゆらしながら左官屋の師匠が言い

私はそれに大きく頷きました。

 そういったことは時々あることなのです。

西川町岩根沢で釣りをしたときも

同じような経験があります

 細い沢なのですが良く釣れるので

一時は足げく通った沢で

禁漁になった秋にもヤマブドウを採りに

行くことがありましたが

山菜や実りが多いことと

鬱蒼とした地形ゆえ熊の気配が濃厚で

大量の糞を幾度か見つけたことがあります。

                    

その時はこの川にこんなに岩魚が居たのか

と不気味にさえ感じました。

宙に舞うエサに岩魚が飛び掛るほどで

2人で60匹を越す型の良い岩魚を

釣り上げました。

それに気を良くした私らは

明日も竿を畳んだところから

先を釣てみようということになったのですが

その晩から土砂降りの雨が降り出して

結局翌日の釣りは断念せざる終えませんでした。

岩魚は雨が降る前にエサを食い溜めしたのでしょうか。

 また岩魚は増水した水に流されないために

砂などをわざと食べて胃袋を重くすると

聞いたことがあります。

100703001  

(水沢川、通称岩根沢、山の先輩ポイント狙い打ち)

 山は楽しく怖いところ

様々な経験をして強くそう思うようになりました。

私の未熟さが一番の原因ではありますが

つねにそういう緊張感を持っていないと

いけないのだと。

岩魚釣りに夢中になっているときというのは

沢登り、渡渉とついつい無理をしてしまい

後なって、あのときは危なかったなぁ

一歩間違っていたら

というようなことが度々あり

それはやはり運が良かっただけなのです

それはバイクに乗っている時もそうで

無茶したなぁと思うことは幾度となくあります。

そのたびに反省はするのですが

免許センターの講習で見せられる事故映像と

同じで、そのときは気をつけようと思っても

つい時間が経つと忘れてしまうのです。

 今は山菜を少々採ったりごくまれに

釣りをするくらいで山を客観的に楽しむことが

多くなりました。

もしかしたらバイクもそういう楽しみ方に

変化してきているかもしれません。

 バイクそのものを楽しむというより

バイクと何をするか

そんな使い方になってきているのは

確かです。

100701026  

梵字川のガレ場に枯れた花束とワンカップが

岩の上に供えてあるのを見ました。

そのとき私たちは川沿いで小銭入れと竿を拾い

これはもしかしたらあの供養していた

仏様の物かと即座に思い

帰宅時に地元の交番へ寄り

拾ったものを届け出ました。

お巡りさんの話では、1ヶ月ほど前に

梵字川に入った2人の釣り人のうちの1人が

渡渉中に流されて

帰らぬ人になってしまったそうです。

 遺族はその流されたところへ行きたいと

望まれたそうですが

素人ゆえとても無理なのですが

たっての希望で逝ってしまった川だけでもと

梵字川の流れ込みまで案内し

そこで供養されたとのことでした。

 他人事ではない未熟な私にとっては

身が引き締まる出来事でした。

 

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コメント

はじめまして。
「小沢、梵字川」のキーワードで御ブログにたどり着きました。梵字川への下降、小沢川でのテン泊の記事、大変興味深く拝読させていただきました。
以前、私は月山第2トンネル手前の駐車場にて、いざ渓谷を下降せんと準備している山屋パーティを見かけた事があり、「こんな急峻な谷を下れるのか」と驚いたことがあります。
私もフライをやっていたのですが、さすがにこの谷を降下してみようとは思いませんでした。
管理人さんは何度か梵字川に下降されているそうですがその際、何か特殊な装備は使用されていたのでしょうか?
教えていただければ幸いです。

spaさんコメントありがとうございます。
お返事は新たな記事としてトップページにさせていただきますので
よろしくお願いします

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